マウスを低温環境下(15℃)で飼育し、寒冷ストレスが心臓の心室筋細胞、ペースメーカ細胞のL型カルシウムチャネルにどのような変化をもたらすかをパッチクランプ法を用いて解析した。マウスではGタンパク依存性の遅い不活性化機構は、一週間で発現した。寒冷順化後にのみ観察されるL型カルシウムチャネルの遅い不活性化機構パッチ細胞内還流法でGDP-γSを還流しても抑制されなかった。温暖な環境下(30℃)で飼育したマウスから単離した心筋細胞をGTP-γSで還流しても遅い不活性化が観察されることはなかった。以上の結果は遅い不活性化に関与するGタンパクが低分子量Gタンパクである可能性を示唆している。 個体レベルでの心筋細胞変化のタイムコースを解析し、遅い不活性化の原因となっている因子をあきらかにするために、心電図RR間隔を測定して寒冷の自律神経調節に及ぼす影響を解析した。寒冷負荷は心拍数を上昇させると共に、心拍変動をほぼ完全に消失させた。このことから、寒冷ストレス下のマウスでは通常行われている心拍数調節による機械的な負荷の解除が行われず、心臓は絶えず機械的なストレスにさらされていることが示唆された。さらに、この研究を効率よく進めるために、呼吸と心拍の関係を解析するためのシステムを開発した.
|