モルモット腸間膜動脈内皮細胞層を単離し、内腔側膜を上側にしてカバーグラス上に貼付した標本を開発して用いた。この状態における内皮細胞の膜電位は-10mVより浅いものがほとんどであり、アセチルコリン(ACh)を投与しても過分極反応は観察されなかった。細胞内K^+濃度低下を疑い、高K^+液で13〜15分間処理したところ、静止膜電位には変化無かったがAChによる過分極反応は回復した。次にAChで活性化され、過分極反応の原動力となっているチャネルを同定するため、ギャップ結合を介して電気的につながっており、等電位と考えられる隣接する2個の内皮細胞の内腔側膜に各々パッチ電極を適用した。一方をconventional whole-cell clampのcurrent clamp modeとして膜電位を測定し、他方をcell-attached patch clampとして単一チャネル活動を記録した。パッチ膜電位の固定には他方の電極により測定した膜電位を利用して、通常は不可能であるcell-attached patch clampにおける絶対電位固定を行った。ACh投与により過分極反応が惹起されると、cell-attached patchではコンダクタンスが2と7pSの2種類のチャネル活動が観られ、その逆転電位からこれらのチャネルはK^+チャネルと判明した。Inside-out patchにして内膜面に10^<-6>MCa^<2+>を含む高K^+液を投与するとチャネルの開口が観られた。AChにより細胞内Ca^<2+>濃度が増加するするとこれらのチャネルが活性化されて過分極を引き起こしていると考えられた。
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