研究概要 |
小胞体の貯蔵Ca^<2+>が枯渇すると、ある形質膜Ca^<2+>チャネルを通過して容量性のCa^<2+>流入が生じ、小胞体内腔へのCa^<2+>再充填がおこるとされる。その機構を容量性Ca^<2+>流入(CCE)と呼ぶ。心筋細胞にもCCE機構が存在するか否かを決定し、CCE活性化の分子機構を解明する目的で、生理学的手法と分子生物学的手法を組み合わせた解析を行った。同現象は、パッチクランプ法による内向き全細胞電流と、蛍光指示薬(Fura, Fluoその他)を用いた細胞内Ca^<2+>濃度によりモニタした。分子生物学的材料として、今回は、竹島(東北大生化学)らが作成した、小胞体のCa^<2+>動員蛋白RyR2および小胞体膜-表層膜接合接蛋白のジャンクトフィリンJP2の2種類のノックアウトマウスの心臓を用いた。2カ年計画の初年度は、予定していた実験を遂行し以下の結果を得た。(1)CCE機構が心筋細胞膜に存在することを確認した。(2)活性化機構モデルのうち、構造的連関説、構造的非連関説のうち、心筋細胞の場合のCCE機構では、何れのモデルが適当かノックアウトマウスを用い検討した。実験結果は全て、心筋細胞では構造的非連関説があてはまることが判った。既に報告されている他の、非興奮性細胞や興奮性細胞におけるCCE機構群との生理学的、薬理学的特性との比較を行い、心筋細胞との共通、相違点を検討した。その結果、心筋細胞のCCE機構は、他のどれとも異なる特有の特性を示した。
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