研究課題
心筋細胞の容量性Ca^<2+>流入(CCE)チャネルの活性化の分子機構の解明を目指して、本基盤研究(C)の2カ年計画を遂行してきた。初年度の平成14年度においては、CCEチャネルの存在の証明をはじめ、活性化機構を説明するのに適した作業仮説の検討を行った。最終年度の平成15年度においては、CCEチャネルの活性化機構を更に詳しく明らかにすることや、CCEチャネルの生理学的な役割を知ることなどを主な目的として、次のような仕事を行った。(1)容量性Ca^<2+>流入に小胞体膜-表層膜接合構造が必要か否かを、接合蛋白のジャンクトフィリンJP2欠損マウスの心臓を用い調べた。(2)胎児、新生児、アダルトにおける個体発生学的なCCEチャネル発現密度の変化を調べた。(3)形質膜受容体刺激に始まるCCEチャネル現象を、様々な実験条件下に観察することにより、CCEチャネルの生理学的、病態生理学的意味を探った。(4)心筋CCEチャネルを介する形質膜越えのCa^<2+>流入過程の興奮収縮連関機構における仕組みを探るため、細胞内Ca^<2+>濃度と同時に単一心筋細胞の単収縮も測定した。以上の実験から、容量性Ca^<2+>流入において、心筋細胞に特有な中心的な分子機構が明らかにされた。心筋細胞のCCEチャネルの活性化機構としては、構造的非連関モデルが最も適していると考えられた。また、少なくとも心筋細胞の場合、生理学的および病態生理学的な状態において、興奮収縮連関機構にCCEチャネルが一役買っている可能性が強く示唆された。
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