細胞内の情報伝達はcyclicAMPやIP_3、カルシウムイオンといったセカンドメッセンジャーによって担われており、これらの物質の細胞内濃度を測定することは細胞の機能を知る上で非常に重要である。これまで我々はGreen Fluorescent Protein (GFP)を用いて蛍光カルシウムセンサー(G-CaMP)を作成し、細胞内のカルシウムイオン濃度を光学的に測定する方法を開発してきた。この研究では、研究をさらに発展させ、これまでの緑色のカルシウムセンサーとは異なる波長(色)の蛍光を発するカルシウムセンサーを開発する。 平成14年度は主に青色カルシウムセンサーの作成とそのin vitro性能テストを行った。 実験は順調に進んでおり、青色の蛍光を発するGFP変異体であるCFPを用いてカルシウムイオンに感受性を持つ蛋白性センサー(C-CaMP)の開発に成功した。この蛋白質を大腸菌に発現させ精製した後スペクトロスコープにて詳細にその性質を調べたところ、これまでのG-CaMPではカルシウムイオンが結合すると蛍光強度が増加したが、C-CaMPでは逆に蛍光強度が減少した。またG-CaMP同様pHの変化に対して蛍光強度が変化するものの、塩素イオンに対しては安定で、蛍光強度に影響がないことが判明した。C-CaMPのDNAを培養細胞であるPC12細胞に発現させたところATP、カルバコール、高カリウム刺激による脱分極などの刺激によってC-CaMPの蛍光が減少し、細胞内カルシウム濃度の増加と蛍光変化が対応していることが明らかとなった。
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