研究概要 |
近交系マウスのCS系は,恒常暗条件での行動のサーカディアンリズムにリズム・スプリッティング(リズム2分割)を示す.このリズム・スプリッティングの,生後発達との関連を明らかにすることを本研究の目的とした.今年度では,仔マウスの離乳後の行動リズム型変化について検討した. 【現段階の結果】 1.12時間交代の明暗サイクル下で,離乳直後(生後21日目)から,仔マウスの回転輪活動を記録し,明暗同調リズムのパターンを観察した.その結果,記録開始直後から,暗期開始時と終了時に活動相をもつ明確なスプリッティングを示した. 2.離乳直後からスプリッティングを示していた仔マウスのうち,生後日数経過とともに2つの活動相の間隔が短くなり,やがては単峰性パターンに変化した. 3.CS系仔マウスを,スプリッティングを示さないC57BL/6J系マウスと,生後すぐに母仔交換し,離乳後の行動リズムを観察した.現在も実験中であるが,現段階では,C57BL/6J系の母に育てられたCS系仔マウスは,CS系の母マウスに育てられた仔マウスと同様にスプリッティングを示している. 4.CS系の母マウスは出産後仔マウスを喰殺するため繁殖が難しい.そのため進行が予定よりも遅れている. 【今後の計画】 1.CS系仔マウスの恒常暗条件でのフリーランリズム周期の生後発達変化を調べる 2.C57BL/6J系の母マウスと母仔交換したCS系仔マウスの,恒常暗条件でのフリーランリズム生後発達変化を調べる. 3.CS系仔マウスの離乳前のリズム型を調べるために,時計遺伝子mPer1,mPer2などの脳における発現リズムをin situ hybridization法により確かめる.生後1日齢,7日齢,14日齢,21日齢で,明暗サイクル下での発現リズムを,視交叉上核およびそれ以外の脳部位で見る.現在,仔マウスの脳をサンプリング中である.
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