我々は、自分自身で体位変換ができない患者さんが少しでも楽な体位で眠れないか考えた。そこで、眠りやすい身体の向きや、その寝返りの特性や習慣について個人差があるのではないかと考え、これらのことを明らかにすることを目的にビデオを用いた夜間の体位変換分析と睡眠感についてのアンケート調査を行い検討した。アンケートはPSQI日本語版とSMH睡眠質問表を用いた。また、睡眠時の体位の習慣についてのアンケートを行った。さらに、脳波測定により、寝返りと睡眠深度の関係についても検討した。対象者は健常高齢者8名であった。対象者は連続した3日間の実験セッションに参加した。19時に実験室に集合し、脳波電極を装着した。22時30分に入床を促した。その後ビデオによる睡眠体位の記録と脳波測定を開始し、6時に起床を促した。そして、入眠時刻、覚醒時刻、起床時刻等、睡眠感についてのアンケートを行った。実験セッション2日目の19時に再実び験室に集合したのち、1日目と同様の実験手順とし、3日目は起床後にアンケート記入した後、実験終了とした。睡眠環境について、室内温度を26.0℃、湿度60%、照度は10lux以下とした。分析方法は、ビデオに記録した画像より、体位は28パターン(頭部、体幹、下肢)に分類し、その回数と持続時間を記録したものを、睡眠時の体位についての事前アンケートとともに比較した。これまでに健常成人男性・女性に同様な実験をおこなっており、その違いについて現在投稿準備中である。さらに、寝返り回数が極端に少ない健常成人女性1名について、体圧分散メカニズムを明らかにすることで、褥瘡予防に役立つのではないかと考えその徐圧方法の検討をおこなった。その結果、頭部や膝の曲げ伸ばしにより、徐圧していることがわかった。これらの方法を応用することで現在より睡眠感を悪くせずに他動的に体位変換が可能となる可能性が示唆された。
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