研究概要 |
骨格筋型RyR(RyR1)は骨格筋細胞における細胞内貯蔵Ca^<2+>の生理的Ca^<2+>放出(PhCR)チャネルとして機能するが、一方ではCa^<2+>によるCa^<2+>放出(CICR)チャネルの性質をも有する。すなわち、RyR1分子は異なる刺激に対して、二種類のモード(PhCRモードおよびCICRモード)で開口すると考えられている。本研究ではRyR1を介するCa^<2+>放出に強く影響を与える薬物とその誘導体を薬理的道具として用い、2種の開口モードがそれぞれチャネル分子のどのような分子形態に基づくものかを明らかにするために実験を計画した。そして、今年度以下の結果を得た。 高脂血症薬として広く臨床応用されているstatinsが骨格筋のCa^<2+>放出を強く促進することを見いだした(Inoue et al.,2003)。すなわち、その副作用である横紋筋融解症発症には、Ca^<2+>放出機構の関与の可能性が挙げられる。そこで、Cerivastatin(Cer)をリード化合物として、光親和性標識可能な誘導体を作成し、Ca^<2+>放出調節機構の解明とともに横紋筋融解症発症メカニズムの解明への分子プローブを探索することを計画した。実際に作成された誘導体GIF-386およびGIF469(photovastatin)はCerの高脂血症薬としての作用点であるHMG-CoA reductaseをCerと同様に抑制するとともに光親和性標識可能な誘導体であった。特にGIF-469は非放射性同位元素を用いずに検出可能(Hosoya et al.,2004)であり、本研究のみではなく他の薬物検出に関しても将来的に有用性の高い手法として発展可能であると思われる。
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