分泌顆粒の細胞膜へのドッキング、フユージョンポアーからのカテコラミン漏出、そしてフルエクソサイトシスに至る、開口放出各過程で区別し検討するため、単一クロマフィン細胞を標的とした、微小炭素繊維電極を用いたアンペロメトリー法による開口分泌測定系をセットアップした。この実験系の特徴は1つの分泌顆粒からのカテコラミン分泌動態を1つの電流時間曲線のスパイクとしてとらえられ、そのスパイク形状の各種パラメーターを解析することにより開口放出の各過程を明確に区別する事が可能になった点である。この方法と単一細胞内へ各種小分子、抗体、プラスミド等をマイクロインジェクションする方法を組み合わせSNARE蛋白(特にVAMP)による開口頻度と開口放出過程の調節機構を検討した。 カルモデュリン結合部位に変異を加えたVAMP 2合成ペプチド及びwild type VAMP 2合成ペプチドを作製し、培養副腎クロマフィン細胞にマイクロインジェクションし、単一細胞からの刺激に伴うカテコラミン分泌反応を微小炭素線維電極を用い測定した。wild type VAMP 2合成ペプチドはカテコラミン分泌頻度を著明に抑制したが、カルモデュリン結合部位に変異を加えたVAMP 2合成ペプチドは作用がなかった。さらに、スパイク形状の各種パラメーターを解析したところ、wild type VAMP 2合成ペプチドは開口速度を遅くする作用が認められた。この結果は、カルモデュリンとVAMP 2の相互関係が分泌制御に重要な役割を演じている事を示唆している。
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