研究概要 |
ロテノンによるパーキンソン病モデルの妥当性について検討した。その結果、原報とは異なりモデルと呼ぶには著しく不完全であると結論した。その後、原著者らの報告を見てもプロトコールが変わっており、このモデルの再現性に疑問を抱いたのは正しかった。その変更されたプロトコールはより煩雑になっており根本的に改良されたとは言い難い。そこで、我々はロテノンの投与期間を原報の4週間から8週間に延長してより再現性の良いモデルが作製できるか否かを検討した。ラットに浸透圧ミニポンプによりロテノン(2.0mg/kg/day)を自動持続注入ポンプ(Alzet minipump)を用いてラット右総頚静脈内に投与した。パ病発症の評価は、S-mexによる自発運動量及びアポモルヒネ誘発運動量の自動測定、生化学的および形態学的の方法により行った。形態学的には、黒質及び線条体のtyrosine hydroxylase,α-シヌクレインの免疫組織染色による神経死の評価を行い、生化学的には、線条体ドパミンの定量を行った。投与開始時体重は各群約300gであったが、ロテノン投与群は対照群に比べて体重増加が少なかったが、8週以内に死亡した個体はなかった。運動量は自発運動量及びアポモルヒネ誘発運動量のいずれも有意に減少した。ロテノン投与群では線条体ドパミン含裏は減少し、ノルアドレナリン含有量が増加した。黒質では有意な変化はなかった。tyrosine hydroxylase及びα-シヌクレイン免疫組織染色ではいずれの群も有意差は見られなかったb
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