研究課題/領域番号 |
14570089
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
木村 智彦 日本歯科大学, 新潟歯学部, 教授 (40143002)
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研究分担者 |
松村 千明 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助手 (50277597)
桑島 治博 日本歯科大学, 新潟歯学部, 講師 (80139310)
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キーワード | 副腎髄質 / 開口分泌 / カテコールアミン / プロテインホスファターゼ / カルシニューリン / FK506(タクロリムス) / シクロスポリンA / ATP |
研究概要 |
プロテインホスファターゼは酵素学的な性質の違いにより4種類(PP1、PP2A、PP2B、PP2C)に分類される。PP2BはCa^<2+>/カルモジュリン依存性プロテインホスファターゼであり、カルシニューリンと称される。FK506(タクロリムス)やシクロスポリンはカルシニューリンを特異的に阻害することで、免疫抑制作用を発揮すると考えられている。本研究では、開口分泌におけるカルシニューリンの役割を明らかにする目的で、副腎髄質カテコールアミン(CA)分泌に対するFK506およびシクロスポリンAの作用を検討した。実験にはウシ副腎髄質培養細胞を用いた。 (結果および結語) 1)非透過性細胞において、FK506はACh、DMPP、K^+脱分極によるCA分泌を濃度依存的に抑制した。 2)透過性細胞において、ATPの有無にかかわらずFK506はCa^<2+>およびカフェインによって引き起こされるCA分泌を抑制した。 3)シクロスポリンは非透過性細胞においてACh、DMPPよるカテコールアミン分泌を軽度に抑制したが、K^+脱分極によるCA分泌および透過性細胞のCa^<2+>によるCA分泌を増強した。 以上の結果から、FK506が副腎髄質細胞においてCA分泌を抑制することが明らかになった。また、FK506とシクロスポリンでは作用が異なることから、それらの作用にカルシニューリンは関与しないことが推察された。副腎髄質細胞におけるCa^<2+>依存性開口分泌の過程は、ATP依存性のプライミング過程と、ATP非存在下でも起こる融合・開口過程の二段階から成ることが知られている。FK506がATP非存在下においてもCA分泌を抑制することから、FK506の作用点は融合・開口過程にあることが推察された。
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