研究課題/領域番号 |
14570098
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
滝川 修 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (70163342)
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研究分担者 |
刀祢 重信 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (70211399)
三輪 聡一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40157706)
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キーワード | トリプトファン代謝 / キヌレニン化 / 分子生物学 / ノックアウトマウス / インターフェロンガンマ / 興奮性神経毒 / 翻訳後蛋白修飾 / 感染防御機構 |
研究概要 |
エイズやインフルエンザなどのウィルス感染、マラリアやトキソプラズマなど原虫感染など、種々の感染症において、キヌレニン経路の律速酵素であるインドールアミン酸素添加酵素(IDO)が、爆発的(10〜100倍)に誘導され、全身性あるいは局所性にトリプトファン(Trp)代謝が著しく亢進する。このIDO誘導は病原体に対する宿主応答で産生されるサイトカイン、主としてIFN-γを介し、IDO誘導による細胞内Trp枯渇-"Trp兵糧攻め"-がIFN-γの抗ウィルス活性や抗細胞内寄生虫活性の分子機構の一つになっている。このようにIDOは"Trp兵糧攻め"を通じて病原体の増殖抑制に関与していると予想される。しかし、中枢神経系おけるIDO誘導は、強力な神経毒である3ハイドロキシキヌレニンやキノリン酸の著明な脳内蓄積をもたらすことから、エイズ痴呆症、インフルエンザ脳症、マラリア脳炎など病態時には神経細胞障害をむしろ増悪している可能性が高い。また、IDOは胎盤、胸腺、副睾丸などに構成的に高いレベルで発現しているが、その生理的意義は不明である。本研究では、IDOノックアウト(KO)マウスを作製し、IDOによるTrp代謝の病態・生理的意義を動物個体レベルで解明する。 本年度は、すでに構築済みのIDO遺伝子標的ベクター(ネオマイシン耐性遺伝子を含む)をマウスES細胞にエレクトロポレーション法で導入した後、G418存在下に培養し、安定なネオマイシン耐性細胞を160クローン得た。しかしながら、これらのクローンの中にはIDO遺伝子と相同組換えが生じ、IDO遺伝子が破壊されているものは含まれていなかった。これはIDO遺伝子と異たる位置に標的遺伝子がランダムに挿入されたことによる。そこで、ジフテリア毒素をIDO遺伝子標的ベクターの両端に結合させた標的効率を高めた新しいベクターの構築に着手した。平成15年度3月現在、全遺伝子組み替え工程の約80%が終了した。
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