本年度は、E6DG1発現系の確立およびE6DG1の上流および下流遺伝子群同定によるE6DG1機能解析のための準備を行った。 (1)E6DG1蛋白質局在の確認 E6DG1 cDNAとGSTとの融合蛋白質およびポリペプチドによる抗E6DG1抗体を作成し、E6DG1蛋白質検出系を確立した。上記抗E6DG1抗体を用いて、蛍光抗体法によりE6DG1の細胞内局在を確認した結果、E6DG1は核内に局在することを確認した。 (2)E6DG1およびアンチセンスE6DG1発現系の作製(白澤) E6DG1 cDNAをアデノウイルスベクターにセンスおよびアンチセンス方向に組み込み、E6DG1発現組換えアデノウイルスおよびアンチセンスE6DG1発現組換えアデノウイルスを作製した。 上記E6DG1発現系を用いて、予備実験において足場依存性に顕著な影響のあることが確認されている膵癌細胞株PanclによりE6DG1の影響を解析する系を構築した。 その結果、Pancl細胞は、E6DG1強発現により足場依存性が減少し、アンチセンスE6DG1の発現により足場依存性の増強することが明らかとなった。一方、HeLa細胞に対しては、E6DG1強発現により足場依存性が減少するが、アンチセンスE6DG1発現による足場依存性の変化は観察されなかった。また、種々の癌細胞株の増殖速度に対するE6DG1強発現およびアンチセンスE6DG1発現の有意な影響は観察されなかった。細胞の形態に対するE6DG1の影響を調べた結果、E6DG1強発現により細胞は円形となり、アンチセンス発現によりフラットな形態に変化することが明らかとなった。
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