研究課題/領域番号 |
14570124
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
堀内 正久 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (50264403)
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研究分担者 |
佐伯 武頼 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10056070)
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キーワード | カルニチン / JVSマウス / プロスタグランディンF2α / 心肥大 / 呼吸商 / 酸素消費 |
研究概要 |
平成14年度に引き続きカルニチン欠乏マウス(JVSマウス)にみられる心肥大発症機構について検討を行なった。 1)食餌中の脂質量と心肥大との関連:平成14年度に食餌中脂質量を減らすことによって心肥大の程度が軽減することを明らかにした。本年度は、コントロールマウスおよびJVSマウス心臓において、ATPレベルやenergy charge、さらにクレアチン燐酸濃度に違いがないことを明らかにした。食餌中の長鎖脂肪酸含量が心肥大発症と関連が強いことが示唆されたことから、脂肪酸代謝関連物質の心肥大発症への関与を検討した。培養心筋細胞の系で肥大効果の報告されているプロスタグランディンF2α(PGF2α)の関与を検討した。尿中PGF2αは、JVSマウスで有意に排泄量が増加していたが、アスピリン投与でPGF2αの産生を抑制しても心肥大の発症を抑制しなかった。以上のことから、食餌中脂質量は、心肥大発症に関連するがPG系は、関与しないと結論付けた。 2)カルニチン投与効果のエネルギー代謝についての検討:以前より、心肥大をはじめ種々の症状がカルニチンの投与によって抑制できることを見出していた。本年度では、その投与効果機構について、エネルギー代謝の面から検討した。摂食時においては、呼吸商の検討から対照マウスと同様にJVSマウスも炭水化物を主なエネルギー源としていることを明らかにした。絶食後、腹腔内投与されたカルニチンは、肝臓には取り込まれるものの、心臓、脳、骨格筋にはほとんど取り込まれなかった。取り込まれた肝臓においても24時間後には、投与前のレベルに戻っていた。カルニチン投与JVSマウスの酸素消費量は生食投与JVSマウスより著明に多かった(絶食条件でカルニチン投与後24時間以降)。しかし、カルニチン投与マウスも呼吸商は低く、エネルギー源としては脂肪酸を利用していることを明らかにした。カルニチン欠乏症におけるカルニチンの投与効果は、「単に、臓器カルニチンレベルを上昇させること」によらない機構もあることを見出した。
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