研究概要 |
マウスプリオンタンパク質の大腸菌での発現:マウスプリオンタンパク質(PrP)を大腸菌で発現させるためマウスゲノムDNAを鋳型としてPrP_<23-231>部位を増幅し、これをpGEX-5X-3,pProEX-HTc, pThioHis, pET-39bのマルチクローニングサイトへ挿入した。大腸菌BL21(DE3)pLysSをpGEX-5X-3/PrP_<23-231>, pProEx-HTc/PrP_<23-231>, pThioHis/PrP_<23-231>, pET-39b/PrP_<23-231>で形質転換し、PrP_<23-231>とGST、Hisタグ、チオレドキシン-Hisタグ、あるいはDsbA-Hisタグ-Sタグとの融合タンパク質をそれぞれ誘導発現できる形質転換菌を得た。IPTG処理でタンパク質の誘導を行い、細胞を破砕後、上清と沈殿画分を調製しSDS-PAGEで分析した結果、発現したプリオンタンパク質はpGEX-5X-3とpProEX-HTcでは沈殿分画に、pThioHisとpET-39bでは上清と沈殿分画に認められた。pGEX-5X-3とpProEX-HTcでは発現タンパク質がインクルージョンボディーを形成したので、タンパク質の折りたたみを介助する分子シャペロン(プラスミドpG-KJE8)との共発現系を構築した。発現タンパク質の一部は上清に認められるようになったが、アフィニティークロマトグラフィーによる精製には適さなかった。 PrP_<23-231>の精製:大腸菌BL21(DE3)pLysSで発現させたDsbA-Hisタグ-Sタグ/PrP_<23-231>をSプロテイン-アガロースを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。次にエンテロキナーゼで処理しDsbA-Hisタグ-Sタグ(タグタンパク質)とPrP_<23-231>の切断を行い、Sプロテイン-アガロースとBenzamidine-セファロースを用いたアフィニティークロマトグラフィーによりタグタンパク質とエンテロキナーゼを除去しPrP_<23-231>を得た。
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