CBA系マウス純系コロニー内に自然発生した溶血性貧血マウス(pk-1^<slc>)はヒトピルビン酸キナーゼ(PK)異常症のモデルマウスである。このマウスから樹立したフレンド細胞株SLC3は赤血球(R)型PK遺伝子の点突然変異を有し、継代中にアポトーシスを惹起することから、R-PKが赤芽球におけるアポトーシス抑制に関与していることが示唆されている。今年度はCBA系野生型マウスより樹立したフレンド細胞CBA2を用いて、RNA interference(RNAi)法によるR-PK遺伝子発現抑制がアポトーシスを誘発するかどうか検討を加えた。 pSilencer1.0-U6ベクターにマウスR型PKmRNAのNo.390〜408までの19塩基対を標的とした二重鎖オリゴヌクレオチドを挿入し、リポソーム法を用いてCBA2細胞への遺伝子導入を行なった。遺伝子導入後48時間後からG418を400μg/mlを加えた培地に変更して、耐性を獲得した細胞を得た。RNAiによるマウスR-PK遺伝子発現の低下は、R型PKに特異的な抗PK抗体によるウェスタンブロット解析で確認した。R-PK発現が低下したフレンド細胞株には、1)細胞形態、2)DNAラダーの出現、3)SubG_0/G_1期細胞の増加などのパラメーターにより、アポトーシスの誘発が確認された。対照としてpIRES2EGFPを導入したCBA2細胞には上記の変化が観察されなかったため、これらのアポトーシス形質の獲得は、遺伝子導入操作による非特異的な現象ではなく、RNAiによるR-PK遺伝子発現の低下によるものと結論した。
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