研究概要 |
生体内でGTPから生合成されるテトラヒドロビオプテリン(BH4)は、フェニルアラニンの代謝を行うフェニルアラニン水酸化酵素、カテコラミンやセロトニンの生合成の律速段階を触媒するチロシン水酸化酵素、トリプトファン水酸化酵素の補酵素であり、一酸化窒素合成酵素の活性に必須のコファクターである.BH4は神経系、免疫系、循環器系といった生体内の多彩な機能の調節に重要な役割を果たしていることが考えられ、多くの疾患との関連があることが予測される.BH4の不足によって生体内の様々な恒常性維持にかかわる情報伝達が機能しないとき、神経活動が細胞レベルや個体のレベルでどのような影響をうけるのかを明らかにするため、また非神経組織におけるBH4の生理作用についても調べるためBH4生合成の第2段階を触媒する6-ピルボルテトラヒドロプテリン合成酵素(PTPS)遺伝子ノックアウトマウスを作成した。 本年度は 1,PTPS遺伝子ノックアウトマウスの胎児由来の胸腺をヌードマウスに移植し、幹細胞を放射線照射したC57BL/6マウスに導入して分化させたリンパ球について、表面抗原の分析、混合培養試験、PFA試験、LPS、Con A刺激による増殖能を野生型・ヘテロ接合型と比較して行った現在までのところ有意な差は検出されていない。 2,PTPS遺伝子ノックアウトマウスのホモ接合型新生児にBH4およびL-DOPAを腹腔内投与し、ドパミン、セロトニン、TH活性、TPH活性の変化、およびTHの免疫組織化学を変化を検討した。今後例数を増やして検討をつづける予定である。 3,ドパミンβ-水酸化酵素遺伝子のプロモーターに、ヒトPTPSのcDNAを結合したベクターを用いてトランスジェニックマウスを作成した。発現量とパターンに違いのあるものが数ライン得られており、PTPS遺伝子ノックアウトマウスのヘテロ接合体と交配してレスキュー実験を行う。
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