研究課題/領域番号 |
14570137
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岩渕 三哉 新潟大学, 医学部, 教授 (70143766)
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研究分担者 |
味岡 洋一 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80222610)
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キーワード | カルチノイド腫瘍 / 内分泌細胞癌 / グレリン細胞 / ECL細胞 / 細胞形質 / Musashi-1 / 消化管 / 組織分類 |
研究概要 |
1.胃のグレリン細胞の分布とカルチノイド腫瘍の発生 (1)通常型慢性胃炎では、グレリン細胞とECL細胞は胃底腺粘膜に最多で、同粘膜の内分泌細胞の主体であった。同粘膜での両細胞の増減には粘膜性状やガストリンなどの内分泌環境の変化が関与した。 (2)自己免疫性胃炎の萎縮胃底腺粘膜では、腺管内外の内分泌細胞過形成とカルチノイド腫瘍形成にECL細胞だけでなく、グレリン細胞も関与した。カルチノイド腫瘍に至る主体はECL細胞であった。 (3)通常型慢性胃炎と自己免疫性胃炎のカルチノイド腫瘍は、共通にECL細胞とグレリン細胞を主体とした。カルチノイド腫瘍は、自己免疫性胃炎では内分泌細胞過形成を経て形成されたが、通常型慢性胃炎では内分泌細胞過形成を伴わなかった。両胃炎のカルチノイド腫瘍は発生経路を異にした。 2.胃・大腸内分泌細胞癌の構成細胞の特性 (1)内分泌細胞癌を構成する癌細胞の内分泌マーカー発現に多様性がみられた。胃腸型粘液形質は67%の腫瘍に発現し、胃型と腸型の両形質を発現する腫瘍が多かった。内分泌マーカーと胃腸型粘液形質は67%の腫瘍に同時発現し、同一癌細胞での同時発現もみられた。自己複製能の維持に関わるMusashi-1は67%の腫瘍に発現した。p53蛋白過剰発現は75%の腫瘍にみられた。Ki67陽性細胞率は約50〜60%であった。 (2)内分泌細胞癌は、細胞分化からは内分泌への分化を主方向とし、粘液形質も同時発現する多分化能の癌細胞から構成され、細胞増殖からは自己複製能を維持し、p53異常を伴い、高い細胞増殖能をもつ癌細胞から構成された。「多分化能を示す未分化な癌細胞」から構成されることが内分泌細胞癌の特性に関係すると考えられた。 3.日本と欧米の消化管内分泌細胞腫瘍の組織分類と運用の差異 (1)消化管内分泌細胞腫瘍の日本分類と欧米分類(WHO、AFIP分類)との差異と協調への課題を詳細に示した。
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