研究概要 |
本研究の目的は、自己免疫疾患患者に発生したリンパ増殖性疾患(LPD)の臨床病理学的、分子生物学的な特徴を明確にし、臓器移植を受けた患者を始めとする他の免疫抑制状態にある患者に発生したLPDと比較検討し、その発生メカニズムを解明することである。 平成14年度は以下のことを行った。 1)自己免疫疾患に罹患している患者に発生したLPDについての全国調査2)病歴調査による臨床病理学的検討3)H.E標本作成による病理組織学的分類4)免疫染色による腫瘍細胞の表現型の解析5)RNA in situ hybridizationによるEpstein-Barr virusの存在の検討6)PCR法によるHTLV-1(tax, pol)の存在の検討 結果 1)自己免疫疾患に罹患している患者に発生したLPD53例(RA22,SLE10,DM9,PSS7,AIHA7)を解析した。 2)RA患者に発生したLPDは他の自己免疫疾患患者に発生したLPDに比べ、原疾患に罹患してからLPD発症までの期間が長く、年齢が若く、予後がよい点で異なる特徴があった。 3)自己免疫疾患患者に発症したLPDでは、B細胞性の場合、Polymorphousな形態を示す症例以外ではEBVの陽性率に関して健常人に発症するB細胞性リンパ腫と差がなかった。しかしながら、Polymorphousな形態を示すB細胞性LPDやホジキン病、T細胞性LPDは高率にEBV陽性で、これらの腫瘍発生にEBVが関与することが示唆されることがわかった。 平成15年度はさらに自己免疫疾患患者に発症したLPDにつきPCR-SSCP法とダイレクトシークエンス法を行いp53,c-kit遺伝子等の変異の解析を進めて行く。
|