研究概要 |
本研究の目的は、自己免疫疾患患者に発生したリンパ増殖性疾患の臨床病理学的、分子生物学的な特徴を解明し、臓器移植を受けた患者を始めとする他の免疫抑制状態にある患者に発生したリンパ増殖性疾患とそれらを比較検討し、その発生メカニズムを解明することである。 平成14年度 自己免疫疾患に罹患している患者に発生したリンパ増殖性疾患53例について、臨床病理学的に解析した結果、リウマチ患者は他の自己免疫疾患患者に比べ、発生したLPDが若干ことなる特徴を持つことが判明した。また、polymorphousな形態を示すB細胞性LPDやホジキン病、T細胞性LPDは高率にEBV陽性で、これらLPDでは腫瘍発生にEBVが関与することが示唆される(Int J Cancer,103;443-449,2004)。 平成15年度 各種自己免疫疾患患者(RA, SLE, DM, PSS, AIHA)(大部分MTX非投与)に発生したリンパ球増殖性疾患(LPD)41例についてPCR-SSCP法とダイレクトシークエンス法を行いP53,c-kit遺伝子等の変異の分子生物学的解析を加えた。 結果 自己免疫性疾患患者に発生したT細胞性LPDでは従来報告されてきた臓器移植後に発生するB細胞性LPD同様、p53geneの点突然変異が高頻度に見られた。自己免疫性疾患患者に発生したLPDではp53geneの点突然変異がある症例はない症例に比べ予後が不良で、p539geneの点突然変異と予後と相関することを明らかにした(投稿準備中)。
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