これまでの研究で、胃型(human gastric mucin)、腸型(MUC2、CD10)のマーカー用いた形質発現と大腸上皮性腫瘍の発育進展様式と悪性度および遺伝子異常の関連を解析し以下のことが判明し、これらの結果を基礎としてさらに解析を進行中である。 1)Adenoma-carcinoma sequenceとde novo発癌経路では形質発現に違いがある。 2)絨毛性腫瘍(Takata et al. Histopathol 2003)や粘液癌、炎症性腸疾患に合併した癌では胃腸混合型形質が多い。 3)CD1Oの発現する癌では肝転移やリンパ節転移が高率であり、CD10発現は高悪性度の指標である。 今年度は胃腸混合型形質が高率にみられる絨毛性腫瘍や炎症性腸疾患に合併した癌において、マイクロサテライト不安定性(MSI)の解析をhMLH1やMSH2を用いた免疫染色やマイクロサテライトマーカーを用いたPCR法により、混合型形質とMSIの解析を継続していおり混合型形質を示す大腸癌ではMSIの関与が高率であることが判明しつつある。また、若年者大腸癌とMSIの関連がしばしば報告されているので若年者大腸癌における形質発現を調べたところ混合型形質を高率に認め、若年者大腸癌と形質発現とMSIの関連が示唆されたが現在データーが不十分であり、絨毛性腫瘍や炎症性腸疾患に合併した癌と併せて実験継続中である。
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