研究概要 |
平成14年度実施結果 ウサギは神経質な動物でありマウスと異なりその繁殖には高度な技術と広い実験スペースが必要である。現在までに繁殖によって得られたLPL Tgウサギを用い以下の結果を得ている。今後さらにN数を増やしてこれらの検討の継続を行う。 1)普通食飼育下でのLPL Tgウサギの脂質代謝特性 LPL Tgウサギでは血中のLPL活性は通常のウサギの3-5倍に上昇していた。その結果,血漿中のトリグリセライド(TG)は雌で約1/2,雄で1/5に低下していた。 2)高脂肪食負荷によるLPL Tgウサギの脂質代謝の変化および肥満に関する検討 10%高脂肪食の負荷により,LPL Tgウサギおよび対照(Non-Tg)ウサギの体重は増加したが,両者の間に有意な差は認められなかった。高脂肪食負荷後16週目の脂肪測定では,LPL Tgウサギの雄で対照に比べ皮下脂肪,腹腔内脂肪が有意に少なかった。また,血中のグルコース値およびインスリン値は,高脂肪食負荷16週目において対照群で値の増加が認められたが,LPL Tgウサギでは高脂肪食負荷前の値とほぼ同様であった。 以上のことより,対照群では高脂肪食の負荷により血中のグルコース値およびインスリン値が上昇し,インスリン抵抗性の発現が示唆されるが,LPL Tgウサギではこれらの値の上昇が見られなかったことより,高脂肪食負荷により生じるインスリン抵抗性の発現を抑制していることが考えられる。
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