研究課題/領域番号 |
14570154
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
矢澤 卓也 横浜市立大学, 医学部・病理学第一講座, 講師 (50251054)
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研究分担者 |
北村 均 横浜市立大学, 医学部, 教授 (20094302)
伊藤 隆明 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (70168392)
奥寺 康司 横浜市立大学, 医学部, 助手 (10326027)
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キーワード | クラスIIトランスアクチベーター / 主要組織適合抗原 / 癌 / Tatタンパク |
研究概要 |
これまでの研究により、肺小細胞癌、神経芽細胞腫細胞等の神経内分泌癌細胞はclass II transactivator (CIITA)の発現抑制機構を有しており、この現象が神経内分泌癌細胞へのmajor histocompatibility complex (MHC)の発現抑制を引き起こし、宿主に異常細胞として認識されないという巧みな腫瘍免疫回避機構を形成していることが明らかとなった。そこで本研究では、CIITA遺伝子導入を介した神経内分泌系悪性腫瘍に対する効果的な腫瘍免疫療法を開発することを目的とし、本年度は効果的にCIITA分子を腫瘍細胞内に送りとどけるシステムの構築を試みた。 1.まず発現蛋白にbistander効果が認められているVP22発現ベクターに注目し、これにCIITA遺伝子を挿入してVP22-CIITA fusion proteinを作成した。しかしVP22をN末端に融合させてもC末端に融合させてもCIITAの生理機能が消失した。VP22蛋白は約32kDaとやや大きな蛋白であることから、この現象はVP22がCIITA機能部位にfoldingすることにより起こったと考えられた。 2.次にHIV由来のTat蛋白をCIITAに融合することを試みた。CIITAのN末端あるいはC末端にTat蛋白を融合させるよう設計したインサートを作成し、これを発現ベクターに挿入してin vitroにおいてこれらのTat融合CIITA蛋白がCIITAとしての機能を保持しうるかを検討した。その結果、N末端にTatを配したTat-CIITA融合蛋白はMHC誘導能を保持していることが明らかとなった。 3.次にHMS174大腸菌及びpTriEX vectorを用いて組み換え型Tat-CIITAを作成し、これを精製したのちヒト培養肺癌細胞の培地中に添加した。その結果、Tat-CIITA蛋白は培養細胞中に移行し、MHCを誘導することが明らかとなった。
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