本年度は研究実施計画に基づき、以下の研究を行った。 1.糸球体硬化性病変を有する腎生検例の臨床病理学的解析。 当大学における腎生検例をWHO分類に基づき形態診断を行い、一次性糸球体硬化症および、その他の腎炎に伴う二次性糸球体硬化性病変に分類し、臨床病理学的に検討した。 2.レーザーmicro dissection顕微鏡およびin situ hybridization法などの遺伝子解析に関する手技の開発と確立 パラフィン検体からのmicro dissection法はすでに確立しており現在までにアルミスライドを用いた凍結標本の接着・剥離もほぼ確立した。 現在は一次性糸球体硬化症のさらなる検体収集をしており、手技的には硬化部のみのDNA抽出に若干の検討を加えている最中であり、来年度(平成15年度)当初には確立予定である。 3.現在、サイトカインおよび成長因子などの免疫電顕学的検索も行っており、光顕および免疫電顕による検索・遺伝子異常の検索を進行中である。 4.本年度はZO-1を主とする蛋白レベルでの発表を米国および日本腎臓学会などで行った。内容としては、各種蛋白レベルによる腎炎(1次性、全身性疾患に伴う腎病変など)におけるtight junctionの障害に関するもので、とくにLupus腎炎では他腎炎と違なり、ZO-1蛋白の発現が高度で、phosphotyrosinも同部位に認められ、チロシンリン酸化がZO-1蛋白発現制御機構に関与しているという内容であった。 来年度はmicro dissection法を用いた遺伝子異常などを発表する予定である。
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