研究概要 |
研究実施計画に基づき、以下の研究を行った。 1.糸球体硬化性病変を有する腎生検例の臨床病理学的解析. 当大学における腎生検例をWHO分類に基づき形態診断を行い、一次性糸球体硬化症および、その他の腎炎に伴う二次性糸球体硬化性病変に分類し、臨床病理学的に検討した。 2.糸球体内のサイトカインの分布を蛋白レベルと^<35>Sを用いて、mRNAについて検討した. GBMとメサンギウム細胞に一致して蛋白およびmRNAがみられ、蛋白レベルとmRNAの分布に不一致も認め、特にメサンギウム細胞にはmRNAが強く発現していた. 3.ZO-1を主とする蛋白レベルでの検討を行い、発表を米国および日本腎臓学会などで行った。 各種蛋白レベルによる腎炎におけるtight junctionの障害に関する検討で、とくにLupus腎炎では他腎炎と違なり、ZO-1蛋白の発現が高度で、phosphotyrosinも同部位に認められ、チロシンリン酸化がZO-1蛋白発現制御機構に関与しているという結果であった。 4.レーザーmicro dissection顕微鏡およびin situ hybridization法などの遺伝子解析に関する手技の開発と確立では、micro dissection法はすでに確立しており、アルミスライドを用いた凍結切片標本の接着・剥離に問題はなく実施できた.糸球体の確認ではHE染色が最も確実に剥離可能であった.パラフィン検体からのmicro dissection法は確立し(Gut,2004)、凍結切片からのDNAの抽出を試みるために、厚さと糸球体の個数による検討も行った. 厚さの薄い切片ではDNAの抽出はばらつきを認めた.硬化糸球体と非硬化糸球体の比較では、硬化部のみからのmRNAの定量的な抽出には問題がいまだに残されている. 5.免疫電顕による検索では、本研究中に詳細な検索は出来なかった.
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