研究課題
基盤研究(C)
乏突起膠腫は代表的な神経膠腫であるが、その診断精度は必ずしも高くない。適切な治療法選択のために、客観性のある診断基準の策定と有効な診断アプローチ法を提示することを目的として、以下の研究を行った。まず乏突起膠腫で高頻度に検出される1p染色体の欠失をFISH法にて検討した。その結果、乏突起膠腫の6割で1p欠失が検出されることが確認された。一方、他の腫瘍群では検出されず、1p欠失が乏突起膠腫に特異性の高い異常であることが示された。続いて乏突起膠細胞の細胞骨格を特徴づける微小管に関連する蛋白質(tubulin, MAP-2)と乏突起膠細胞への分化を誘導する転写因子Olig2を対象として、免疫組織化学的解析を行った。その結果、いずれも乏突起膠腫で陽性所見を示したが、特異性には乏しかった。また乏突起膠腫群と星細胞腫群の細胞像の違いについて画像解析法を用いて検討した。乏突起膠腫群の腫瘍細胞核は、星細胞腫群のそれに比べて、有意に正円に近くかつ大きさもよく揃っていることが明らかにされた。さらに乏突起膠腫を1p欠失の有無によって2群に分け、その超微形態像を比較した。その結果、両群間で構成細胞に差は見出せず、特徴の乏しい乏突起膠細胞様の円形細胞が多数を占めていた。乏突起膠腫は正常の乏突起膠細胞に類似した腫瘍細胞から構成される腫瘍と定義されている。従って現段階では、その診断には組織学的所見の解析が最も重要である。診断精度の向上には種々の検索手段を集約的に用いることが重要と考えられた。さらに、治療法選択のために染色体異常の解析が必要である。
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