研究課題/領域番号 |
14570166
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
安田 政実 東海大学, 医学部, 講師 (50242508)
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研究分担者 |
村松 俊成 東海大学, 医学部, 助手 (90266437)
長村 義之 東海大学, 医学部, 教授 (10100992)
竹腰 進 東海大学, 医学部, 講師 (70216878)
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キーワード | 体癌 / 1型糖鎖 / DU-PAN-2 / CA19-9 / 腫瘍マーカー |
研究概要 |
これまでの我々の検討結果からは、「DU-PAN-2の発現率は体癌の分化度に関わらずCA19-9のそれよりも優勢であり、高悪性化に伴ってもその発現性は著しく低下しないこと、また、この2つのマーカーの発現は閉経による性ホルモンの環境変化には基本的に影響を受けないこと」が免疫組織化学的解析により明らかとなった。本年度は、まず、この現象が臨床面でどのように反映されるのかを解析することに主眼をおき、体癌症例で術前・術後の両抗原の血清値変動を解析した。術前に陽性となる症例は3ないし4例に1例の割合で、頻度的にはDU-PAN-2、CA19-9の両者間で差はみられないものの、臨床病期(stage)と腫瘍分化度(grade)との関連では、以下のような現象が明らかにされた。「DU-PAN-2、CA19-9とも病期が上がるにつれ、陽性率が高くなり、stage-IIIないしIVでは半数の症例でDU-PAN-2が陽性となる。また、興味深いことに、分化度に照らしてそれらの値をみてみると、「CA19-9は分化度が低くなるにつれ漸増するのに対して、DU-PAN-2はむしろ低下する傾向を示すことが証明された。これらのことより、両糖鎖抗原は「体癌では血清学的に異なった動態をとる」ことが示唆され、その解釈として以下のような仮説が提起される。DU-PAN-2は基本的には分化度の高い体癌で産生される傾向があるものの、低分化になった場合でも腫瘍量の増大によってその低下が補われることで、陽性率はむしろ進行症例で高い。この点、免疫組織学的には低分化癌でも著しく陽性所見が低下することはない」とした解析結果に概ね一致した見解が得られた。次年度では、特異的糖転移酵素α2-3 sialyltransferaseとα1-4fucosyltransferaseの活性と、このような糖鎖抗原の"発現様式"の相関性にも着目して、体癌における糖鎖の機能因子としての役割(浸潤と転移の観点から)を明らかにして行きたい。
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