研究概要 |
病原因子の解析 1.Chlamydia pneumoniaeの検討 a.急性期川崎病剖検例の冠状動脈薄切切片を対象とした。 b.Chlamydia pneumoniaeに対するmonoclonal antibodyを用いて免疫組織化学的に検出を試みた。 2.ウイルス発現の検討 a.急性期川崎病剖検例の冠状動脈薄切切片を対象とした。 b.Enterovirus, Cytomegalovirus, Hepatitis B virus, Varicella-zoster virusに対するprobeを用いISH法で検出を試みた。 【結果】急性期川崎病動脈病変内に抗Chlamydia pneumoniae抗体に陽性を示す細胞は見出せなかった。さらに、ISH法においても各種ウイルス陽性像を見出すことは出来なかった。EB virus関連血管炎症例を参考としたが、本例では血管病変やリンパ節のリンパ球に陽性像を認めた。川崎病血管病変から病原因子を積極的に示唆しうる所見を得ることは困難であった。 動脈病変局所における免疫グロブリン治療修飾の検討 1.急性期川崎病剖検例の冠状動脈薄切切片を対照とした。 2.CD3、CD20、CD68、免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM)に対する抗体を用い病変内浸潤細胞を同定し、各陽性細胞、特に形質細胞の出現程度を経静脈的免疫グロブリン投与、非投与症例とで免疫組織化学的に比較検討した。 【結果】免疫グロブリン投与症例で形質細胞浸潤程度は軽度となる傾向を示したが、IgG、IgA、IgM陽性細胞を比較しても明確な差異を見出せなかった。免疫グロブリン投与剖検例は数が少なく、今後継続して検討を進める必要があると考えられた。
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