研究概要 |
我々が平成14年から15年に家兎総頸動脈の血流を増大する実験モデルで発見した新しい所見は1)内皮細胞の著しい増殖が内弾性板ギャップ出現の前に生じること、2)血流増大による動脈の拡張性のリモデリングの過程で生じる内弾性板ギャップの発生直前に内皮細胞と中膜平滑筋細胞が接触すること、3)内弾性板ギャップの出現は内皮細胞と中膜平滑筋細胞が増殖することにより生じる可能性を明らかにしたこと、4)発生した内弾性板ギャップは血流減少により消失することはなく、むしろそのギャップを通り内膜へ平滑筋細胞が増殖遊走することである。たしかに内皮細胞の増殖が直接にギャップ形成をすることは力学的に困難があった、しかし今回我々が確かめた平滑筋細胞による内弾性板へのストレスはこの困難を解決する重要な鍵であると考えられた。さらに血流増大によるリモデリングにおいて内皮細胞の著しい活性化が生じ、MMP2,MMP9,MT-MMP, TGF-beta等が上昇していることを明らかにした。この変化は毛細血管新生での変化と類似していた。さらにこの血流依存性のリモデリングが繰り返されると内膜への平滑筋細胞の増殖遊走が積み重なり、あたかも動脈硬化症と似てくることを明らかにした。また血流依存性リモデリングにおいて、初期の内皮細胞増殖時期に内皮細胞そのものが骨髄由来の内皮細胞祖先細胞に大きく依存していることがわかった。この発見は今まで毛細血管新生において確認されてきたが、動脈内皮細胞での確認ははじめてである。現在精力的に骨髄由来の内皮細胞研究を血流増大リモデリングモデルで研究している。すでに口演発表したが、学会誌で発表する計画である
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