ADAMTS-1は、ADAM型のメタロプロテアーゼドメインとトロンボスポンジン(TSP)タイプ1モチーフを持つADAMTSファミリーの最初のメンバーとして我々が同定したものである。これまでADAMTS-1が硫酸化グリコサミノグリカン結合性のメタロプロテアーゼであり、またこの性質に一致して、ADAMTS-1が軟骨プロテオグリカンであるアグリカンを分解する活性を有することを明らかにしてきた。またADAMTS-1によるアグリカンの切断部位は、関節炎患者の関節滑液中や軟骨組織培養の上清で検出されるアグリカン断片の切断部位に対応することから、ADAMTS-1がアグリカンの代謝に関わる可能性を考えている。本研究では、ADAMTS-1遺伝子欠損マウスでコラーゲン誘導性関節炎を誘発してその関節軟骨組織の破壊の程度を調べ、ADAMTS-1がどの程度、関節炎誘導時における軟骨破壊に関わるかを明らかにする。この目的のため、本年度はADAMTS-1遺伝子欠損マウスについてコラーゲン関節炎感受性のマウス系統DBA/1へのバッククロスを行った。またADAMTS-1遺伝子欠損マウスでは生後1-2週の体重が、ヘテロマウスと比較して20-30%程度少なく、成長の遅延が認められる。現在、ADAMTS-1遺伝子欠損マウスについてその成長期の四肢骨端部組織に異常があるかどうか、また骨端部での軟骨基質の代謝に異常があるかどうかについて検討を行っている。
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