研究概要 |
1.サルEBV関連virus (Herpesvirus papio (HVP))感染によるウサギの血球貧食症候群を伴う致死的リンパ増殖異常症の本態が、反応性か腫瘍性かの検討 HVP誘発リンパ球増殖異常症病変(LPD)をTCR-Jβ probeによるSouthern blottingにより解析すると、polyclonalであり、基本的には反応性であることが判明した。さらに、immunomagnetic cell sortingにより採取したCD4+, CD8+, CD79a+の各リンパ球がすべてHVP-EBER1(+)Iであることからもpolyclonalであることが裏付けられた。 2.サルEBV関連virus (Herpesvirus papio (HVP))誘発ウサギ血球貧食症候群を伴う致死的リンパ増殖異常症モデルの経時的変化の検討 経時的に採取された血液像、血清学的検査と末梢血中のウイルス量の定量的測定をreal-time PCRで行った結果、ウイルス抗体価とウイルス量は逆相関する傾向を示して変動し、死亡前にはウイルスが急増してウイルス血症になり、リンパ節や脾臓のリンパ増殖異常症(LPD)が死亡前約1週間以内に急激に形成されることを明らかにした。In vivoのLPDおよびLPD由来のリンパ球細胞株では、ウイルス遺伝子発現型のそれぞれtype IIIとtype IIを示した。 3.HVP誘発ウサギ血球貧食症候群を伴う致死的リンパ増殖異常症モデルの治療法の検討 ウサギがHVPに感染したことを確認後、無治療群と抗ヘルペスウイルス薬(vidarabine)と化学療法(CHOP)の薬剤を用いた治療群を比較検討した結果、vidarabineは無効で、CHOP療法は、延命効果が見られたが、救命できなかった。この実験中に、予期せず、HVP感染性リンパ球増殖病変の中心部にHVP陰性のリンパ腫が発生することを見つけた。
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