PrPmRNAの発現量と異常プリオン蛋白(PrPSc)の蓄積量との間には必ずしも相関はみられない。そこで、そうした部位を検索することによって、異常プリオン蛋白への変換を制御する因子を見い出すヒントが得られるのではと考え、その一つである腎臓について検討した。プリオン感染腎臓では、PrPScが蓄積している証拠は見出せなかったが、組織学的に糸球体にIgA、IgG、C3、C1q、fibronectinの沈着がみられ、免疫的な関与が想定された。cDNA subractionでは、NADH oxidase(NOX)やNADH dehydrogenase、cytochrome CなどのROSに関連した遺伝子の発現元進が認められ、尿中の不可溶性イムノグロブリンの存在との関連が考えられる。NOXの一種であるtNOXにはプリオンと同じ特性があることや、緑茶の成分のカテキンに、このtNOXの効果を押げらえる。事実、細胞レベルにおいて、抑制効果を確認しており、現在、in vivoでの効果判定を行なっている。また、osteopontinの高発現も認められたが、感染脳のmicrogliaに高発現している反面、PrPScが多く蓄積されている脾臓のmacrophageには発現しておらず、プリオン病のpathogeneslsを考えるうえで興味深い。
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