研究概要 |
本研究の目的は,ギャップ結合による細胞間コミュニケーション阻害が臓器レベルでどのような病態を発生させるかを明らかにすることである。 我々は,ギャップ結合蛋白コネキシン(Cx)のうち,野生型のCx43遺伝子や細胞内ループを欠損させた変異型のCx43とGFPとの融合蛋白発現プラスミドベクターをそれぞれ作成し、まず、これらの発現ベクターを培養細胞で発現させたときの効果を検討した。野生型及び変異型Cx43-GFP発現ベクターを内因性コネキシンの発現がなく、ギャップ結合細胞間コミュニケーション能を欠くHeLa細胞や、内因性にCx43を発現しギャップ結合細胞間コミュニケーション能の高いラットIAR20細胞やラット新生仔初代培養心筋細胞に導入した。野生型Cx43-GFPは、HeLa細胞細胞間コミュニケーション能を回復させた。一方、変異Cx43-GFPは、IAR20細胞やラット新生仔初代培養心筋細胞の内因性コネキシンによる細胞間コミュニケーションをドミナントネガティブに抑制した。さらに、変異Cx43発現心筋細胞では、野生型Cx43発現心筋細胞と比べ、隣接する心筋細胞との細胞内カルシウムトランジェントの同期が有意に抑制される事が分かった。 この結果をExp. Cell Res. 273 : 63-69.2003に発表した。
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