研究概要 |
1)成熟期マウスのエストロゲン刺激中止後の子宮上皮のアポトーシスの機構について検討し、次の事を明らかにした。 (1)エストロゲン刺激中止後の上皮のアポトーシスに相関して、チトクロームCがミトコンドリアから細胞質に漏出するとともに、caspase-3が活性化される。 (2)チトクロームCの漏出の通路と推定されているミトコンドリアのvoltage dependent anion channel(VDAC)が、上皮のアポトーシスに相関して上皮で増加する。 (3)上皮のアポトーシスに相関しBak又はBax/Bcl-2又はBcl-xL比が増加する。これ等の結果から、エストロゲン刺激中止後の子宮上皮のアポトーシスでは、ミトコンドリアを介するアポトーシスの経路が重要であり、Bc1-2familyの蛋白がそれを制御している事、更にVDACの増加がアポトーシスの感受性を増加させている事が示唆された。 2)男性ホルモン依存性癌細胞であるシオノギ癌115細胞を用いて、in vitroで男性ホルモン除去後のアポトーシスの機構を検討し、男性ホルモン除去後シオノギ癌細胞のアポトーシスが起こり、その時チトクロームCがミトコンドリアから細胞質に漏出する事を明らかにした。現在、アポトーシスに伴うVDAC,caspase3,Bcl-2family蛋白の変動を検討中である。 3)出生直後から成熟期迄の間でのマウス精嚢上皮のアポトーシスに及ぼす去勢の影響を検討し、次の事を明らかにした。 (1)出生後から成熟期までのどの時期でも去勢により精嚢上皮のアポトーシスがおこる。 (2)精嚢の発育の緩やかな生後20日迄のアポトーシスの程度は、発育の速度の早いそれ以降の時期のそれに較べて有意に低い。
|