研究課題
これまでの研究からNb-ES抗原中にはシステインプロテアーゼなど特異的IgE抗体の標的分子が多く存在することが分かっているが,同時にその他の未知の活性分子が数多く存在することが示されている。本研究で着目しているNb-ES抗原中に存在するラットTリンパ球に対するIFN-γ産生抑制活性もそのひとつである。昨年度の結果からNb-ES抗原およびその部分精製分画はマウスTリンパ球に対してもIFN-γ産生抑制活性を示すことが確認され、さらなる活性機序の詳細な解析が可能となった。そこで本年度の研究においては、ES抗原中に含まれる活性分子を特定することが研究を効率よく進める上で必須であった。その結果、限外濾過法による活性分子の分子量推定が50kD〜100kDであることを明らかとした。さらに、段階的イオン強度勾配による陰イオン交換クロマトグラフィーおよび自作の抗ES抗原ポリクローナルウサギIgG抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーなどの組み合わせにより、ES抗原に比してほぼ20倍以上の比活性を持つ分画の精製に至った。この精製分画中の活性は56℃30分の熱処理に対して抵抗性であったが、95℃30分の熱処理により部分的に失活すること、過ヨウ素酸処理により完全に失活することを明らかとした。また、レクチンアガロースによる精製を実施し、活性分子はCon Aなど数種のレクチンに対して結合性を有していることも確認した。本年度得られた結果は、IFN-γ産生抑制活性物質が糖タンパクであり、その糖鎖部分に活性中心があることなどを示すもので、今後の研究を進めるにあたり重要な情報を得ることができたと考えている。
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