1.昨年度に引き続き、Plasmodium berghei XAT感染に対して強い防御効果を示す原虫抗原特異的モノクローナル抗体(B1D6抗体とH6G11抗体;いずれもIgG1)を用いて、これら防御抗体とその標的抗原であるマラリア防御抗原の特異性について検討した。 2.防御抗体を担体に結合させたアフィニティーカラムによる標的抗原の精製において、昨年度の課題であった精製過程でのロスを少量に抑えるため種々の結合法・透析法を検討した結果、回収率を増大させることに成功した。 3.宿主の遺伝的背景の相違によりB1D6抗体によるP.berghei XATマラリアに対する防御効果に差が認められるという昨年度の結果をconfirmした。この相違について精製抗原を用いた宿主免疫パラメーターの比較実験が進行中である。 4.アフィニティーカラムによって得た精製抗原を電気泳動した後に主要バンドを切り出し、防御抗原由来ペプチドをLC-MS/MS解析した。その後、de novo sequencingにより防御抗原ペプチドのアミノ酸の推定配列を得た。この配列についてPlasmoDBとNCBInrに対して検索したところ、このマウスマラリア原虫の防御抗原に含まれるアミノ酸配列と高い相同性を有する配列が、熱帯熱マラリア原虫(3D7株)のhypothetical protein内に存在することを見出した(この配列の高い相同性は、現在のところ、データベース中の他の生物には認められていない)。
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