研究概要 |
植物を含めて,真核の単細胞生物から高等と呼ばれる多細胞生物まで,14-3-3蛋白質は細胞内に存在し,細胞周期アポトーシス,その他のシグナル伝達の重要な局面に関わっている。哺乳動物では,8つのアイソフォームが知られており,ヘテロ,ホモダイマーを形成して働く。 我々はTrypanosoma b.brucei(Tb)では二つ(IとII)のアイソフォームがあることを同定した。昨年度は媒介昆虫(ツェツェバエ)内の時期procyclic型(pr)について,我々が開発したdsRNAi用ベクターpQuadraを用い14-3-3 I,IIをノックダウンして増殖を抑える効果を確認したが,今年度,哺乳動物内のblood stream型について同蛋白質のノックダウンが,prより早期に劇的に形態変化と増殖抑止をもたらす事が判明した。この変化はprotein phosphatase(pp)インヒビターであるオカダ酸の作用により現われる結果と酷似していた。そこで14-3-3 I,IIとPPとの関連より発し,治療薬標的に繋がる成果を得た。
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