研究概要 |
健常成人の2集団、集団A(85名,9-30歳)および集団B(60名,21-65歳)を対象に、4ヶ月間隔で合計3回に渡りディフィシル菌(Clostridium difficile)の保有状況を検索し、分離菌株をPCRリボタイピングおよびパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)法を用いて解析することにより、保有状況の特性を検討した。1.ディフィシル菌の保有状況:被験者延べ435人中延べ26名(6.0%)においてディフィシル菌の保有が認められた。また、集団Aおよび集団Bにおける各検討時期の保有率は各々2.4〜7.1%,5.0〜10.0%であった。集団Aにおける保有者は7名であり、2名は3回共に陽性、2名は2回陽性、3名は1回のみ陽性を示した。一方、集団Bにおける保有者は9名であり、1名は3回共に陽性、2名は2回陽性、6名は1回のみ陽性を示した。2.ディフィシル菌保有状況の特性:1検体につき最高5分離菌株について毒素産生性およびPCRリボタイプを検討した結果、同一検体からの分離菌株の毒素産生性およびPCRリボタイプはいずれの検体においても同一であった。従って1検体につき1分離菌株、合計26菌株をPFGE解析に供した。集団Aにおける陽性者7名からの分離菌株のPCRリボタイプ・PFGEタイプは各固体において異なっていた。一方、集団Bにおいては陽性者9名中3名からの分離菌株、および2名からの分離菌株が各々同一のPCRリボタイプ・PFGEタイプを示した。3回共に陽性の3名中1名についてはいずれの時期の分離菌株も同一のPCRリボタイプ・PFGEタイプを示した。残り2名については連続する2回の時期の分離菌株が同一のCRリボタイプ・PFGEタイプを示した。2回陽性者については4名中1名のみが陽性時期における分離株は同一のPCRリボタイプ・PFGEタイプを示した。
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