研究概要 |
本研究の目的は、DNAワクチンのキャリアとして細胞内寄生性の弱毒非病原性細菌である弱毒リステリアをキャリアとして用いた抗結核菌DNAワクチンを作製し、その効果を検討することである。そのため、以下のことを行なった。(1)DNAワクチン用プラスミドの構築:BCGのAg85A, Ag85B, MPB51遺伝子(BCG菌と結核菌で相同な遺伝子)をPCRにより増幅し、リステリア、大腸菌両方にて増幅するプラスミドp3L118Rのサイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサーの下流にサブクローニングし、DNAワクチン用プラスミドp3L118R-Ag85A, p3L118R-Ag85B, p3L118R-MPB51を構築した。(2)DNAワクチン用プラスミドの弱毒リステリアヘの導入:上記DNAワクチン用プラスミドを弱毒リステリアΔ2株に電気穿孔法を用いて導入した。この組換えプラズミド導入弱毒リステリアをマクロファージ細胞株に感染させた後、細胞内でのAg85遺伝子の発現をRT-PCRで確認した。(3)マウスへの接種とワクチンの効果判定:組換えプラスミド導入弱毒リステリアをC57BL/6マウスに1週間隔で3回腹腔注射した。最終免疫から1ケ月以上経った後、PPD特異的遅延型足蹠反応、脾細胞の細胞増殖反応、サイトカイン産生量を検討した。その結果、次のことが判明した。(1)最終免疫から1ケ月後にPPDを用いて足蹠反応を検討したところ、免疫マウスでPPDに反応して有意な腫脹を認めた。(2)免疫マウス脾細胞を分離しPPDによる刺激後、細胞増殖試験を行ったところ、免疫マウスでPPDに反応して有意な細胞増殖を認めた。3)さらにPPD刺激後の脾細胞培養上清中のサイトカイン量(IFN-γ,IL-2,IL-4,IL-5)を検討したところ、IFN-γ量が有意に増加していた。
|