研究概要 |
14年度に引き続き15年度も愛知県下の主要12病院で分離されたセフタジジム(CAZ)耐性(≧32μg/ml)グラム陰性桿菌105株の分与を受けメタロβ-ラクタマーゼ遺伝子の保有調査と院内感染対策を次のように(1)最小発育阻止濃度(MIC)の測定、(2)メルカプト酢酸ナトリウム(SMA)ディスク法によるメタロβ-ラクタマーゼ産生株の検出、(3)プライマーIMP-1,IMP-2,VIM-2を用いたPCR法によるメタロβ-ラクタマーゼ遺伝子の検出、(4)院内感染が疑われる菌株についてはパルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)を試みた。その結果、SMAディスク法では被検菌105株中30株(28.6%)がメタロβ-ラクタマーゼ産生株であった。またPCR法では,前述の産生株30株の全てにIMP-1型メタロβ-ラクタマーゼ遺伝子の保有が確認された(Pseudomonas aeruginosa5株、P.putida6株、Serratia marcescens3株、Acinetobacterbaumannii5株、A.calcoaceticus2株、Alcaligenes xylosoxidans5株、A.faecalis3株、Burkholderia cepacia1株など)。これは14年度に同様な方法で行った結果(保有率:29.4%)とほぼ同じ結果が得られた。 CAZ耐性(≧32μg/ml)グラム陰性桿菌に限って言えば、平成9年度の保有率は5%未満、13年度は23.0%だったことから増加傾向にある。しかし、13年度の保有株46株中14株はS.marcescensによる泌尿器科病棟の院内感染であり、14年度の保有株30株中7株はP.putidaによる院内感染があったことも考慮しなければならない。 今般の調査の際に,C病院でExtended Spectrum β-Lanctamases(ESBLs)産生菌による院内感染を疑う事例があったのでPCR法で確認したところCTX-M-9タイプ(Toho-2)のE.coli6株とCTX-M-1タイプのKlebsiella oxytoca3株が特定の病棟で検出された。早急に個室管理、徹底した接触感染の予防対策を提唱し、実施したところ大事には至らなかった。 またB病院の集中治療室から検出されたMRSA9株をPFGEで精査したところ8株が同じDNAパターンを示したので院内感染を疑い、防止対策を講じたところ程なく終息した。
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