研究課題/領域番号 |
14570237
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡本 敬の介 岡山大学, 薬学部, 教授 (70131183)
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研究分担者 |
野村 知彦 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (00289315)
山中 浩泰 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (30202386)
篠田 純男 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50029782)
小林 佐賀惠 岡山大学, 薬学部, 助教授 (90212654)
根岸 友恵 岡山大学, 薬学部, 助教授 (80116491)
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キーワード | 大腸菌 / アエロモナス菌 / 分泌 / 成熟化 / 菌体外毒素 / 膜 / グラム陰性菌 / プロテアーゼ |
研究概要 |
多くの菌において、その菌が放出する菌体外毒素は菌の主要な病原因子である。この菌体外毒素はタンパク質であり、このタンパクが菌体外に毒素として放出されるまでには(1)立体構造の構築、(2)膜を通過して菌体外に出現という過程が進行しなくてはならない。この過程を菌体外毒素の成熟化過程をよんでいる。この成熟化過程が成功裏に進行しなければ活性を有する毒素は菌体外に放出されない。このことはこの成熟化過程を障害する薬物を投与すれば、菌の菌体外毒素の放出を停止させ、菌の病原性を消失させ、患者を病気から回復させることができる。このような観点から、本研究では大腸菌の耐熱性下痢毒素(ST)およびアエロモナス菌の溶血毒素や軟部組織の壊死を引き起こすプロテアーゼの成熟化過程に関する解析を行った。その結果STは、外膜タンパクであるToICを介して菌体外に放出される。その放出に際して、TolCのカルボキシ末端から60番目付近の構造がTolCの機能発揮に極めて重要であることが判明した。その付近の構成アミノ酸を他のアミノ酸に置換した変異TolC作製して調べた結果、その領域の疎水性が分泌される分子の認識、あるいは分泌装置の構築に関与していると考えられた。アエロモナス菌の溶血毒は菌が産生するプロテアーゼにより切断され活性化される。患者から分離した菌株を調べた結果、血液寒天培地で溶血活性を示さない菌株も存在する事がわかった。また未知のプロテアーゼを産生している菌株も存在する事がわかった。そこでこれらの菌株についてさらに検討を加えた結果、試験管内では安定であり、不活性型から活性型へ移行しにくい溶血毒を産生する菌株、既知の配列と異なるプロテアーゼを産生する菌株などを見出した。これらの菌株の解析は毒素の成熟化過程、菌の病原性の解析に有用である。
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