研究概要 |
X線回折によりClostridium histolyticumクラスIコラゲナーゼのコラーゲン結合ドメイン(CBD)の立体構造を決定したところ、10本のβストランドからなるサンドイッチ構造を有することが明らかになった。コラーゲン結合部位を明らかにするため、タンパク質表面の残基に網羅的に部位特異的変異を導入し、変異タンパク質のコラーゲン結合能(Kd)を、mini-Collagen分子,Gly-(Pro-Pro-Gly)_8を固相化したセンサー・チップを用いた表面プラズモン共鳴法(BIACORE)により定量した。変異導入により結合能が大きく低下した残基は、サンドイッチの片側にある疎水性シートの中央部に集中していた。CBDはこのホット・スポット領域により基質に結合すると示唆された。 CBDはCa^<2+>依存的に不溶性コラーゲンに結合する。X線回折により、2つのCa^<2+>イオンがサンドイッチ側面に全く新しい様式で結合していることが見いだされた。Ca^<2+>の結合に伴って、CBDのN末端側リンカーはαヘリックスからβストランドへコンフォメーションを変えることも示された。この変化により、CBDのタンパク変性剤(尿素)に対する耐性が増加するとともに、基質への結合能が向上していた。 新たに3菌種のClostridium由来のコラゲナーゼを精製し、6菌種のコラゲナーゼ遺伝子を決定したところ、これらの酵素のドメイン構成は多様であることが示された。これは、CBDが遺伝子進化の途上で重複を繰り返したためと考えられる。 触媒ドメイン(CD)の構造と機能について解析するため、これらの新たに決定したコラゲナーゼ遺伝子に由来するCDをGST融合タンパク質として大量精製することに成功した。C.histolyticumクラスIIコラゲナーゼについては、針状結晶が得られた。
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