研究概要 |
これまで我々は、試験管内での培養上皮細胞への感染実験において、腸管出血性大腸菌O157が上皮細胞に付着するだけでなく、少数ながら細胞内に取り込まれることを共焦点蛍光顕微、電子顕微鏡などによって示してきた。昨年度は、type III分泌器官の一つであるsepL遺伝子を破壊した変異株を作る際に得られた、細胞内へ取り込まれない変異株の表現形質の解析を進めた。その結果、1,SepL遺伝子破壊に用いた挿入配列は一箇所しか入っていないことがSouthern blotting解析によって確認された。即ち、他の部位の偶発的な変異が原因であることがわかった。 2,この変異株はH-7マイナスで、鞭毛がなく運動性がない。 3,発現蛋白を二次元電気泳動によって展開し、親株にあって、変異株にないスポットをTOF-MSによって同定したところ、鞭毛蛋白のflagellinであることがわかった。 4,九州大学の藤本先生より分与されたH-7マイナスの臨床分離株も細胞内へは取り込まれず、flagellinの関与が更に疑われた。
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