研究課題/領域番号 |
14570264
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
吉田 まり子 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (20144743)
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研究分担者 |
難波 ひかる 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20273972)
山田 雅夫 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40166731)
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キーワード | HHV-6 / HHV-7 / リンパ球系樹状細胞 / 臍帯血単核球 / インターフェロンα |
研究概要 |
近年骨髄移植をはじめ各種の造血幹細胞移植が数多く施行されるようになり、移植後の骨髄生着不全あるいは遅延やその他の移植後合併症と、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)などベータヘルペスウイルス亜科の活動性との関連が注目されてきている。同じベータヘルペスウイルス亜科に属していながら、ヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)については、このような骨髄生着不全やその他の移植後合併症を生じる報告はほとんどなく、宿主との免疫応答という点で非常に異なっている。また近年、樹状細胞がウイルス感染初期の抗原提示能だけでなく、その後の免疫応答を支配することや、感作されたTヘルパー細胞は、Th1とTh2という異なる機能を有する細胞に分化することが報告されている。本研究の目的は、HHV-6とHHV-7という非常に高い相同性を有しながら、異なった免疫応答を示すウイルスについて、感染の初期過程における樹状細胞の役割ならびに潜伏感染と再活性化における樹状細胞の役割を探ることである。 リンパ球系樹状細胞(DC2)は、近年主要なIFN-α産生細胞であることが報告されており、昨年度は、ヒト臍帯血(CB)から単離したDC2を用いて、HHV-6およびHHV-7感染の効果を、ウイルスの増殖、サイトカインの動態、樹状細胞の成熟などについて解析し報告した。 引き続き今年度は、感染リンパ球系樹状細胞によるナイーブなT細胞に対する抗原提示能を解析した結果、HHV-6はリンパ球系樹状細胞に感染し、大量のインターフェロンαを産生し、ナイーブなT細胞をIL-10産生優位な制御性T細胞(Tr)に分化させること、対照的に、HHV-7は、インターフェロンαをほとんど産生せず、ナイーブなT細胞をIL-4優位なTh2細胞へ分化させることが示唆された。 これらの結果は、HHV-6感染およびHHV-7感染による宿主免疫応答における顕著な相違、つまりHHV-6感染では発症および増悪因子となっているが、HHV-7感染では、ほとんど不顕性に移行するという現象と関連するものと思われる。
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