研究課題/領域番号 |
14570265
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岩崎 琢也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90146027)
|
研究分担者 |
佐多 徹太郎 国立感染症研究所, 感染病理部, 部長 (00162397)
|
キーワード | 単純ヘルペスウイルス / 皮膚粘膜病変 / 経膣感染 / 角膜感染 / 中枢神経系 / 感染経路 / ウイルス抗原 / 感染病理 |
研究概要 |
同じαヘルペスウイルスの水痘帯状庖疹ウイルスについては表皮より真皮内の神経組織にウイルスが伝達する過程がウイルス病理学的に確認されているのに対し、単純ヘルペスウイルスの表皮ならびに角膜感染においては非外傷(擦過)性の伝播様式には未解決な点が多い。HSV-2のマウス膣粘膜ならびに経角膜感染モデルを用いて、粘膜より末梢神経さらには中枢神経組織に到達する経路、さらにはその伝播における宿主因子を解析し、この伝播を制御する宿主機構を解明することを目的として研究を開始した。解析のポイントは、表皮・角膜の上皮におけるウイルス増殖、上皮下へのウイルス侵入、上皮下に侵入したウイルスの末梢神経への侵入の3段階の時期におけるウイルス感染細胞の同定と、感染細胞の宿主細胞応答の解析である。本年度はBALB/cマウスに非外傷性にHSV-2の種々の株を経膣的ならびに経角膜的に感染させ、経時的に組織学的に解析を行った。また、名大西山らが樹立したUS3欠損HSV-2ならびにそのrevertantも感染させた。一方、感染初期の細胞を含めたウイルス増殖を開始していない細胞を同定するために前初期遺伝子us1の産物US1をGST融合蛋白として大腸菌に発現させ、発現蛋白を可溶化し、精製した。精製した蛋白をウサギに免疫し、抗血清を作製した。現在、この抗血清を用いて免疫組織学的解析を開始した段階であるが、核内にのみUS1抗原陽性となる感染早期の細胞の同定に成功している。今後、この感染早期の細胞を経時的に追跡し、本研究の目的である粘膜感染から末梢神経、中枢神経にウイルスが到達する過程を明らかにする予定である。また、この解析により早期感染細胞が誘導する免疫応答細胞の性状も明らかにできることを期待している。
|