研究課題/領域番号 |
14570269
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
横田 伸一 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10325863)
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研究分担者 |
岡林 環樹 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10359995)
横沢 紀子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50167722)
藤井 暢弘 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90133719)
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キーワード | 生体防御 / ウイルス感染 / ヘルペスウイルス / 細胞内情報伝達 / JAK / STAT経路 / インターフェロン / negative regulation / SCOS-3 |
研究概要 |
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)感染によって宿主細胞のインターフェロン(IFN)に対する反応性が抑制される機構について解析を行っている。その結果、下記に示す実験事実からHSV-1感染のごく初期に宿主細胞内のJAK/STAT情報伝達系のnegative regulatorのひとつであるsuppressor of cytokine signaling 3(SOCS-3)の発現誘導が起こり、それがIFN情報伝達系を抑制していることを示した。 ヒト羊膜細胞株FLにHSV-1 VR3株を感染させるとSOCS-3がすみやかに誘導されることを見出した。mRNAレベルは30〜60minをピークとして一過性の上昇を示すが、蛋白質レベルは1〜2hでピークに達するが、12h以上持続的な発現が認められた。これは、IFN誘導性のSTAT1リン酸化が認められる時間経過によく一致していた。SOCS-1やCISといった他のJAK/STAT negative regulatorの有意な発現誘導は認められなかった。 野生株VR-3株に比較して、テグメント蛋白UL41欠損変異ウイルスおよびUL13欠損変異ウイルスは、IFN誘導性のSTAT1リン酸化や2',5'-オリゴアデニル酸合成酵素発現誘導の抑制能が弱い。2つのテグメント蛋白欠損ウイルスは、SOCS-3誘導能が低く、IFN情報伝達系の抑制能とよい一致を認めた。また、UV照射により不活化したウイルスではSOCS-3の誘導もIFNの情報伝達の阻害も起こらないことから、SOCS-3の発現誘導にはウイルスの細胞への吸着過程ではなく、侵入・脱殻以降の過程が必要であると考えられた。 ヒトSOCS-3発現プラスミドを構築し、FL細胞に過剰発現させたところ、IFN-αにより誘導されるSTAT1のリン酸化が抑制された。SOCS-3の発現により、IFN情報伝達が抑制されることが確かめられた。
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