マウス胎仔における末梢リンパ器官発生は以下の過程を経て発生することが明らかとなった。1.ケモカインCXCL13の局所的な発現、2.同発現部位へのIL7Rα+細胞の移動、3.同部位でのサイトカイン発現によりIL7Rα+細胞が刺激されてLTαβを発現、4.LTαβによる刺激により間質細胞がVCAM1、ICAM1、MAdCAM1などの接着因子およびCCL21、CXCL13などのケモカイン発現5.発現した接着因子やケモカインに誘導されて他の細胞系列が末梢リンパ機関原基に移動。6.それと平行して末梢リンパ器官の組織構築区分が形成される。(血管内皮の発生を含む) 以上の解析結果に基づいてリンパ節欠損TRAF6-KOマウスにパイエル板形成に必要なサイトカインを導入し、リンパ節再形成に成功した。これらのリンパ節原基構成細胞の培養とその移植によるin vivoでの末梢リンパ器官形成を試みた。In vitroではIL7Rα+細胞の10週間以上にわたる培養とリンフォトキシン産生性を維持することができたが、VCAM-1/ICAM-1二重陽性細胞の長期培養は成功するには至らなかった。そこでin vitroの器官培養系でパイエル板形成の追跡を行ったところ、この条件でパイエル板原基を誘導することに成功し、VCAM-1/ICAM-1二重陽性細胞の分化誘導にも成功したが、これらの細胞をin vivoに移植して生着させることはうまく行かなかった。この原因の一つとして、移植細胞が移植後に散逸することが考えられたので、それらを定着させる条件をパイエル板やリンパ節について検討し、末梢リンパ節と腸間膜リンパ節のリンパ節形成の違いが発現するケモカインの差にあることを明らかにした(未発表)。これらの複数の細胞の同時移植による末梢リンパ器官再構成について検討している。
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