研究課題/領域番号 |
14570292
|
研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
矢倉 英隆 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 参事研究員 (60166486)
|
研究分担者 |
荻本 真美 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (80158609)
水野 一也 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00219643)
|
キーワード | CD45 / Src型チロシンキナーゼ / リピッドラフト / チロシンホスファターゼ / チロシンリン酸化 |
研究概要 |
本研究では、リンパ球活性化・分化を制御しているチロシンホスファターゼCD45の基質となるSrc型チロシンキナーゼ(Src-PTK)に対する制御機構を解析し、以下の点を明らかにすることができた。 それまでの未熟B細胞WEHI-231の解析から、CD45は定常状態において基質であるLynのネガティブ制御部位とポジティブ制御部位を脱リン酸化し、不活化していること、さらにBCR架橋後にはLynの両制御部位のリン酸化が亢進して活性化されることから、BCR架橋に一致してCD45の抑制効果が解除される機構の存在が示唆された。本研究により、成熟B細胞BAL-17においても同様の制御が行なわれていることが明らかになった。すなわち、BAL-17細胞のCD45の基質はFynであり、定常状態でFynの両制御部位を脱リン酸化し不活化しているが、BCR架橋によりFynの両制御部位のリン酸化は亢進し、活性化する。これまでのモデルでは、Src-PTKのネガティブ制御部位を脱リン酸化することによりPTKを活性化するのがCD45の役割とされてきたが、これらの結果は明らかにこのモデルでは説明がつかない。そこで、その分子機構をraftに注目して解析した。その結果、CD45は多くの報告とは異なり、調べたすべてのB細胞(WEHI-231、BAL-17、脾臓B細胞)において、その約5%が定常状態でraftに存在しSrc-PTKの両制御部位脱リン酸化し不活化していること、BCR架橋後1分以内にraftから離れ、15分で再びraftに戻ること、さらにraftは未熟B細胞においてもシグナルの起点となっていることなどが明らかになった。これらの結果は、CD45の時間・空間的なダイナミズムがリンパ球の活性化の制御に関与していることを示唆している。今後、CD45のダイナミズムを支える分子機構CD45の新たな基質などを解析することにより、リンパ球の人主的制御へのストラテジーを開発するべく研究を進めていきたい。
|