ヒトプレプロオレキシン遺伝子の翻訳開始点から上流3.2-kbをプロモーターとして、Enhanced-Green Fluorescent Protein(EGFP)を下流につなぎ、トランスジーンを構築した。このコンストラクトを用いて、トランスジェニックマウスを作成したところ、視床下部外側野に局在するオレキシン神経にきわめて特異的にEGFPを発現するマウスを作成することができた。このマウスの視床下部からEGFP(+)の神経細胞(つまり、オレキシン神経)を単離培養したものをアッセイ系に使い、オレキシン神経の活性に影響を与える物質の同定を行った。その結果、オレキシン神経は、CRF、グレリン、コレシストキニン、アセチルコリンによって活性化され、ノルアドレナリン、セロトニンによって抑制されることがあきらかになった。ノルアドレナリンや、セロトニンなどのモノアミンは情動に深く関係していることから、オレキシン神経の情動の制御、発動系における役割が示唆される結果である。また、CRFやコレシストキニンはストレスとの関連が深く、ストレス応答におけるオレキシン神経の役割が示唆された。
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