研究課題/領域番号 |
14570299
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
汪 達紘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90294404)
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研究分担者 |
山岡 聖典 岡山大学, 医学部, 教授 (00314683)
佐野 訓明 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00294405)
筒井 研 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 教授 (70108158)
吉良 尚平 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50033212)
益岡 典芳 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20116502)
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キーワード | カタラーゼ欠損大腸菌 / アカタラセミアマウス / ヒポカタラセミアマウス / カタラーゼ変異遺伝子 / 過酸化水素 / 細胞毒性 / 抗酸化物質 / 無機重金属化合物 |
研究概要 |
この研究ではカタラーゼ遺伝子を直接の指標とする有害物理化学環境に対する新しいリスク評価方法の開発を目指している。今年度はその基礎的実験条件の検討を目的とし、以下の成績を得た。 1.14年度では岡山大学で系統保存しているカタラーゼ変異マウス--アカタラセミアマウス(Cs^b)、ヒポカタラセミアマウス(Cs^c)及びその正常マウス(Cs^a)に由来するカタラーゼ変異遺伝子をカタラーゼ欠損の大腸菌(UM255)に導入し、世界で初めてカタラーゼ活性の異なる大腸菌の系を確立した。H15年度より、各形質転換菌のカタラーゼ比活性を測定し、たんぱく質の定量は牛の血清アルブミンを標準液としてBiuret法を用いて測定した。その結果、各形質転換菌のカタラーゼ比活性はCs^a>Cs^c>Cs^b>UM255の順であった。 2.Ames試験で変異原性陰性と判定された幾つの化学物質(pyrogallol、L-Dopa、anisidine、hydroquinone、など)をこれらの菌株に暴露させると酸化的ストレスによる細胞障害を示され、しかもその障害が各菌株のカタラーゼ活性とは関連があることが明らかとなった。 3.コロニーの形成能の計測及び感受性デスク法を用いて、同程度の細胞毒性を引き起こすための化学物質(pyrogallol、hydroquinone、L-Dopa、など)の量は各菌株のカタラーゼ活性と負の相関であることが認められた。 4.抗酸化作用を有する物質(catalase、ascorbic acid、など)で前処理されたカタラーゼ活性の異なる大腸菌を、pyrogallol、hydroquinone、L-Dopa、などの化学物質に曝露し、これらの物質による細胞毒性をcatalase及びascorbic acidの添加によって完全にブッロクされた。 5.カタラーゼの異なる各菌株を無機水銀、クロム、カドミウム、ヒ素、ニッケル、鉄、銅などの重金属化合物と反応させると、各菌株の増殖抑制はカタラーゼ活性と負の相関となり、Cs^b>Cs^c>Cs^aの順となっていたことが認められた。 本研究によって得られた菌株を、化学物質に曝露させることより生ずる培地上のコロニー数の差異或いは阻止円の有無から、毒性発現が酸化的ストレスによるか否かを評価することができるようになったため、この技術は有害化学物質の新しいスクリーニング手法への可能性を示していると思われる。
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